「HOW3|株式市場の選択」において、ボラティリティの観点で目的(WHY)とする『お金を稼ぐこと』と整合性の取れた株式市場の選択方法を提示しました。
「業種の選択」でもボラティリティを一つの判断材料として用いますが、それ以上に「業種の理解度」を同材料の主な判断材料とします。
しつこいようですが、理論構築の意義は「再現性」を担保することにあり、業種理解は理論構築の一つの因子となります。
理解の及ばない世界に足を踏み入れることを避け、目的(WHY)である『お金を稼ぐこと』に適したボラティリティを持つ世界に飛び込むことが重要です。
33の業種
日本の株式市場を対象にした場合、日本取引所グループでは33種の業種を設けています(図表1)。

上場企業に割り当てられる業種は株式公開時に決定されます。
割当てられる業種は「日本標準産業分類」に準拠するものの、最終的な判断は日本取引所グループに委ねられます。
日本取引所グループでは「業種別分類に関する取扱い要領」を公開しているため、詳しい要領を確認したい場合はそちらをご覧下さい。
昨今の事業形態の移り変わりから、「情報・通信」を中心とした業種区分の基準に注意する必要があります。
例えば「情報・通信」を利用した「サービス業」なのか、それとも「サービス業」向けの「情報・通信」なのか、といった形です。
横並びに業種は設けられていますが、複数の業種を跨いだ事業を展開する企業が多くなってきている点に注意が必要です。
業種の理解度
「業種の理解度」を「業種の選択」の重要指標としています。
しかし、対象とする業種をどの程度理解しているのかを計る指標は存在しません。
重要指標である「業種の理解度」の指標が存在しないことに矛盾を感じるかもしれませんが、インベストメントの世界は矛盾だらけなため気に病む必要はありません。
そこを明確にした上で「業種の理解度」の指針となる3つの項目を図表2にまとめます。

「業種の理解度」は「興味関心」と「事業理解」の2つの項目の有無で判断して構いません。
インベストメントでは自己資産が直接的に増減するため、これら2つの項目は良くも悪くも相互作用をもたらします。
該当業種に強い興味関心があれば、その業種の事業理解に繋がります。
該当業種の事業に対する理解があれば、その業種に興味関心が湧きます。
日常生活では必ずしも成り立たないことでも、自己資産がリスクに晒されている状況下では必ず成り立つと言っても過言ではありません。
インベストメントを始めるにあたって、業種に対する理解や知識が無いことは問題にはなりません。
問題となるのは「興味関心」と「事業理解」の両方が欠けている場合です。
注意点は「職歴」=「業種の理解度」と捉えてはならないことです。
職歴は確かに業種選択に対するキッカケには成り得ますが、一従業員の立場から得られる知識・経験はその性質が異なることからも、インベストメントでの「業種の理解度」を高めることには大して寄与しません。
結論として、「業種の選択」の重要指標である「業種の理解度」は、その業種に対する興味関心の有無、もしくは、サンプルとする該当業種の企業が開示する事業内容の理解の実感の有無を指針とし、どちらか一方でも該当すれば『業種の理解度は高い』とし、どちらも該当しなければ『業種の理解度は低い』とします。