「HOW3-1|株式市場の選択(2つの投資法)」ではボラティリティの視点で「漸進的投資法」と「飛躍的投資法」を紹介し、「HOW3-2|株式市場の選択(株式市場のボラティリティ分析)」では日本の主要な株式市場である東証一部およびJASDAQのボラティリティを分析しました。
さらに、主要指数のみが存在するマザーズと東証二部のボラティリティも算出することで、計4つの株式市場の属性をまとめることが出来ました。
さらに、米国のニューヨーク証券取引所とNASDAQのボラティリティも算出しました。
世界一取引量が多い米国の株式市場のボラティリティも是非ご覧下さい。
株式市場のボラティリティ
図表1および図表2において、2020年7月31日を基準にした各市場(東証一部 = TOPIX、JASDAQ、マザーズ、東証二部、ニューヨーク証券取引所 = NY証券取引所、NASDAQ)の単位週での過去の累積ボラティリティと区分ボラティリティをまとめました。


各市場の累積ボラティリティと区分ボラティリティを見通すと、マザーズのみが他の株式市場と乖離があることが分かります。
「HOW3-2|株式市場の選択(株式市場のボラティリティ分析)」でも述べた通り、TOPIXに比べてJASDAQのボラティリティは信頼度に欠けます。
また、主要指数のみが存在するマザーズと東証二部のボラティリティに関しても信頼度には疑問がありますが、小項目指数が存在しないためその解析は現時点で行えていません。
ニューヨーク証券取引所およびNASDAQのボラティリティはTOPIXとJASDAQの関係性に似ており、ニューヨーク証券取引所に比べるとNASDAQのボラティリティ信頼度は低いと考えられます。
しかし、同2つの米国株式市場のボラティリティはあくまで参考値として受け止めて下さい。
株式市場の属性
ボラティリティ分析による日本の各株式市場の属性を図表3で表します。

東証一部およびJASDAQは複数の指標データによって考察しましたが、東証二部およびマザーズは単一指数によるものです。
東証一部はボラティリティの低さと信頼度の高さ故、総合的な判断では最も「漸進的投資法」の概念に適した株式市場です。
また、JASDAQ全体ではボラティリティの低さを認められたものの、JASDAQ20やJASDAQ-Jに該当する上位企業のボラティリティが非常に高い傾向も認められました。
そのため、JASDAQの上場企業間でボラティリティの乖離が顕著である可能性が考えられ、「漸進的投資法」と「飛躍的投資法」の二つの特性を持つ株式市場と言えます。
東証二部およびマザーズは単一指標を基に考察しましたが、前者が「漸進的投資法」、後者が「飛躍的投資法」に適した株式市場と言えます。
今回のボラティリティ分析において最もボラティリティが高かったマザーズは、最もボラティリティが低かったJASDAQに比べて80%もボラティリティの値が高く、JASDAQに比べて値動きが約2倍も大きい結果が得られました。